ベーシック・インカム
先のベーシックインカムの勉強会を受け、ベーシックインカム(以下BIと略す)関連本を年末年始にかけて読みました。
BIは、すべての国民に文化的な最低限度の生活を営む権利を保障するもので、
1.生活保護等の世帯ベース保障から個人ベースとなることで個人の権利が明確となること、
2.全ての人に支給されることから、生活保護の網羅率の低さが解消されること、
3.生活保護制度による労働意欲阻害が解消されること、
といった効果があると言われています。

読んだのは、
ベーシック・インカム入門 山森亮
無条件給付の基本所得を考える。
ベーシック・インカム 原田泰
国家は貧困問題を解決できるか
の2冊です。
山森氏のは、BIの概念、歴史、現状を網羅的に解説しており、また、「個人と社会との関係」や「労働」についても、改めて考えてみるという内容。
原田氏のは、前半にBIの考え方があり、後半は「実際に日本で導入できるのか?」の試算、となっています。
どちらも興味深かったが、私は、どちらかというと後者の内容に魅入りました。
以下は、原田氏の冒頭部分からの引用。(強調は私がつけました)
「これまでの日本社会の安心は、会社が中心になって担っていた。しかし、日本の会社はそのような重みに耐えかね、正社員を極力採用しないようになってきた。企業に、無理やり正社員を採用するよう求めることには無理がある。企業には、雇わないという選択もあるからだ。
そもそも、企業を安心の起点とすることは、19世紀、帝政ドイツの鉄血宰相ビスマルクが始めたことだ。ところが、雇用の非正規化とともに、そのような方法では安心のほころびが広がるばかりになっている。
そろそろ、企業をそのような仕事から解放してもよいころだ。
国家が直接、人々の安心を保障するべきだ。そうして初めて、すべての人々の安心が守られる。
さらに、医療や失業や介護の安心を守るだけではなく、国家が、貧困そのものを消滅させるべきではないだろうか。
国家に、そのような力はないと言う人もいる。
しかし、現在、国家がなしているさまざまな業務を整理できれば、国家はそのような財政力をもっているという結論に達する。」
時代の変化に即して、これからは「国家が国民の生活を守る」ことが必然ということ。
補足すると、
『近代社会は、人々が自営業者から雇用者になっていく過程であり、これにより、子どもが、親にとって「資本財」であったものから、「消費財」になっていくことを意味する。』
といったことを言っています。
以下、またまた引用。
自営業者の社会では、子どもはとともに働き、親と同じ職業とそれに要する道具を受け継いだ。
こうした社会においては、「孝」を軸とする社会の安定化制度は、それなりに機能していた。
しかし、近代の雇用者の社会では、状況は大きく異なっている。子は、親と同居せず、異なる職業に就き、赤の他人に雇われるので、「孝」に基づく社会安定制度を維持することが難しくなった。
すると、子どもはもはや資本財ではない。つまり、親は、老後になって、「年金」や「保険」を子どもが提供してくれることを期待できない。
子どもが消費財となってしまったからである。
引用ここまで。
資本財、消費財、という言葉には少し抵抗を感じるが、言わんとしていることは良くわかる。
それを補うものが、雇用保険や医療保険や厚生年金などの制度であるというのも、流れとしてよくわかる。
これらそれぞれの単独制度がほころびはじめ、よりシンプルな制度としてBIが位置付けられるといういうストーリーには、十分な説得力があると感じた。
後半の、「実現できるか?」の中では、日本の所得分布に基づき、税制、生活保護、年金、の数値データを用いて、今の生活保護制度よりBIのほうが、「国民の生活を守る」ことができるものであることを説いています。
BIで必要となる100兆円近い財源は、以下のように捻出されるとのこと。
①税制(所得控除をなくし、全ての所得に課税する。)なぜならBIが所得控除の代わりとなるから
66兆円
②年金、子ども手当、雇用保険
19兆円
③各種所得補償、民生費、生活保護費より
15兆円
大半は、税制(所得控除)から来るものとなる。
以前より、BIの話で、私がひっかかっていたのは、なぜ、高所得者、資産家にも支給されてしまうのか?ということだった。
現在でも、高所得者、資産家にも、所得控除はある。それと同じで、BIは当然の権利と言うことらしい。
(確かに理にかなっている。)
また、資産課税についても同様で、小規模宅地優遇制度なども廃止。
国がBIで生活を保障し、それ以外の収入、資産には一律課税するというスタンスで、すっきりしている。
なお、税の累進性をどのようにするかは、公平性および、税収増と徴税コストの両面から考えることとしており、詳しくは言及されていない。(累進性をとらずとも、所得に30%課税で財源は確保出来、現在の平均的所得者には増税とならない事が示されている。)
BI導入にあたっての一番の問題は財源と言われるが、実は無知なだけだったりして。。
BIは、すべての国民に文化的な最低限度の生活を営む権利を保障するもので、
1.生活保護等の世帯ベース保障から個人ベースとなることで個人の権利が明確となること、
2.全ての人に支給されることから、生活保護の網羅率の低さが解消されること、
3.生活保護制度による労働意欲阻害が解消されること、
といった効果があると言われています。

読んだのは、
ベーシック・インカム入門 山森亮
無条件給付の基本所得を考える。
ベーシック・インカム 原田泰
国家は貧困問題を解決できるか
の2冊です。
山森氏のは、BIの概念、歴史、現状を網羅的に解説しており、また、「個人と社会との関係」や「労働」についても、改めて考えてみるという内容。
原田氏のは、前半にBIの考え方があり、後半は「実際に日本で導入できるのか?」の試算、となっています。
どちらも興味深かったが、私は、どちらかというと後者の内容に魅入りました。
以下は、原田氏の冒頭部分からの引用。(強調は私がつけました)
「これまでの日本社会の安心は、会社が中心になって担っていた。しかし、日本の会社はそのような重みに耐えかね、正社員を極力採用しないようになってきた。企業に、無理やり正社員を採用するよう求めることには無理がある。企業には、雇わないという選択もあるからだ。
そもそも、企業を安心の起点とすることは、19世紀、帝政ドイツの鉄血宰相ビスマルクが始めたことだ。ところが、雇用の非正規化とともに、そのような方法では安心のほころびが広がるばかりになっている。
そろそろ、企業をそのような仕事から解放してもよいころだ。
国家が直接、人々の安心を保障するべきだ。そうして初めて、すべての人々の安心が守られる。
さらに、医療や失業や介護の安心を守るだけではなく、国家が、貧困そのものを消滅させるべきではないだろうか。
国家に、そのような力はないと言う人もいる。
しかし、現在、国家がなしているさまざまな業務を整理できれば、国家はそのような財政力をもっているという結論に達する。」
時代の変化に即して、これからは「国家が国民の生活を守る」ことが必然ということ。
補足すると、
『近代社会は、人々が自営業者から雇用者になっていく過程であり、これにより、子どもが、親にとって「資本財」であったものから、「消費財」になっていくことを意味する。』
といったことを言っています。
以下、またまた引用。
自営業者の社会では、子どもはとともに働き、親と同じ職業とそれに要する道具を受け継いだ。
こうした社会においては、「孝」を軸とする社会の安定化制度は、それなりに機能していた。
しかし、近代の雇用者の社会では、状況は大きく異なっている。子は、親と同居せず、異なる職業に就き、赤の他人に雇われるので、「孝」に基づく社会安定制度を維持することが難しくなった。
すると、子どもはもはや資本財ではない。つまり、親は、老後になって、「年金」や「保険」を子どもが提供してくれることを期待できない。
子どもが消費財となってしまったからである。
引用ここまで。
資本財、消費財、という言葉には少し抵抗を感じるが、言わんとしていることは良くわかる。
それを補うものが、雇用保険や医療保険や厚生年金などの制度であるというのも、流れとしてよくわかる。
これらそれぞれの単独制度がほころびはじめ、よりシンプルな制度としてBIが位置付けられるといういうストーリーには、十分な説得力があると感じた。
後半の、「実現できるか?」の中では、日本の所得分布に基づき、税制、生活保護、年金、の数値データを用いて、今の生活保護制度よりBIのほうが、「国民の生活を守る」ことができるものであることを説いています。
BIで必要となる100兆円近い財源は、以下のように捻出されるとのこと。
①税制(所得控除をなくし、全ての所得に課税する。)なぜならBIが所得控除の代わりとなるから
66兆円
②年金、子ども手当、雇用保険
19兆円
③各種所得補償、民生費、生活保護費より
15兆円
大半は、税制(所得控除)から来るものとなる。
以前より、BIの話で、私がひっかかっていたのは、なぜ、高所得者、資産家にも支給されてしまうのか?ということだった。
現在でも、高所得者、資産家にも、所得控除はある。それと同じで、BIは当然の権利と言うことらしい。
(確かに理にかなっている。)
また、資産課税についても同様で、小規模宅地優遇制度なども廃止。
国がBIで生活を保障し、それ以外の収入、資産には一律課税するというスタンスで、すっきりしている。
なお、税の累進性をどのようにするかは、公平性および、税収増と徴税コストの両面から考えることとしており、詳しくは言及されていない。(累進性をとらずとも、所得に30%課税で財源は確保出来、現在の平均的所得者には増税とならない事が示されている。)
BI導入にあたっての一番の問題は財源と言われるが、実は無知なだけだったりして。。