個人情報保護法の地方での対応(例)
個人情報保護法改正に伴う地方での対応方法について記してみました。
令和3年に改正された個人情報保護法は、これまで自治体が独自に制定していた個人情報保護条例による不均衡・不整合を無くすということで、令和5年4月より自治体に直接適用されるとのこと。
そのため、令和3年度中に、自治体は自分の持つ個人情報保護条例を廃止して、個人情報保護法の適用に関する条例というのを作ることになっているようです。
他の市町村では、既に12月議会でそれが制定されているところもあり(適用は4月から)、三宅町では3月議会に提出されるというものでした。
その際、今の個人情報保護法では、自治体組織の中に議会が含まれていないため、議会は議会独自で個人情報保護条例を作る必要があるということもあり、12月ごろから話があがってきていました。
議会では、個人情報保護に詳しい弁護士の先生に一度講義をお願いし、これに備えることとしましたが、正直、簡単ではありませんでした。
現状の問題点、町の個人情報保護条例が、国の個人情報保護法に変わることで何が変わるのか?
制度的に変わること、具体的にどんな事例が変わるのか?
新しい法が想定していることと、法が変わることで想定外に起きること、それに対する対処。
そもそも、国のやろうとしていることを信用しているのかどうか?
国と地方、それぞれの役割をどう考えているのか?
いろんな事が関係してきます。
ここ10年近く、国では、国会で議論することなく多数派が内閣でものごとを決めてゆく政治が常態化しています。
ある人は、『トンデモ法』と呼ぶような内容の法改正が横行してきました。
これらの中、法によっては、さらにそれを反映させるための条例が地方で制定されてゆくものもあるでしょう。
その時、地方議会はどういった議論を行なって、どういった対応をしてゆくのか?
ある意味、地方の議会力が問われることになるでしょう。
地方議会も本来は立法機関。法律のプロフェッショナルである必要があります。
個人の力には限界がありますが、議会として法律に詳しい人とつながるなどの必要性を痛感しています。
いずれにせよ、まずは足元から。
話を戻して、個人情報保護法について。
各地方の対応をネットで漁っていると、茅ケ崎市の対応が目にとまりました。
『個人情報の保護に関する法律の改正等に伴う個人情報保護制度及び情報公開制度における対応について、市より茅ヶ崎市情報公開・個人情報保護審議会へ、令和4年1月28日付で諮問し、令和4年6月21日付で答申をいただきました。』
とのこと。
審議会は4か月ほどかけて、どのような違いが出るか、みずからの条例でどこまで現行の形を維持できるか、などを検討して答申しています。
また、パブリックコメントも行なっています。しかも、市の回答も記載されている。
「小さい町だから出来ない」で済ましてはいけない問題。
やれることをみつけて、やるべきことをやっていかねばなりません。
R5 3月三宅町議会の報告
令和5年度三宅町議会 第1回定例会(3月議会)の報告です。
議会は、3月2日から20日までの間、開かれました。
令和5年度予算は、前年より3億8300万円増えて42億300万円。
総務費、民生費、衛生費、土木費各1億程の増額となっています。
子育て関係では、第一子の保育料の所得階層撤廃、医療費助成を18歳まで拡大など。
町道1号線や県立大学周辺整備にも予算が付けられています。
今議会での議案は全議案が可決されました。個々の賛否状況一覧を示します。
議会の個人情報保護条例は委員会では否決されましたが本会議では可決されています。
今回、個人情報保護関連でいろいろと考えさせられることがありました。
国は、国民全員にマイナンバーを付与しマイナンバーカードを作るように働きかけています。
個人情報をどのように取り扱うのか、どう保護するのか、どう活用するのか、奥深いところです。
(これについては、別記事にしますね。)
R4 12月三宅町議会の報告
三宅町議会 第4回定例会(12月議会)の報告です。
議会は、12月2日から12日までの間、開かれました。
行政からの議案は全て可決。議員提案の意見書を2件可決しました。
議案賛否状況と、9月5日の一般質問、意見書の話を順に記します。
なお、議事内容とは違いますが、遂に本会議の録画がYouTubeに掲載されるようになりました。
12月23日の時点で、今年の6月議会分と9月議会分が掲載されています。
◆議案賛否状況(一覧はこちら)
補正予算や条例改正はすべて全会一致で可決です。
議案賛否状況を示しましたが、賛否が分かれたのは議員提案の意見書1件でした。
「最低賃金の改善と中小企業支援策の拡充を求める」というものです。最低賃金の引上げには、必要なのはわかるが果たして実現可能なのか? という話がついてまわります。
一方的に制度で最低賃金を1500円と定めてしまい他に何もしなければ社会が回らなくなる可能性もあるでしょう。今回の意見書でも「中小企業支援の拡充」がセットで示されています。山本太郎は、「最低賃金全国一律1500円。政府が補償。」といいます。これに対して、米山隆一は論座で、一気にやるのは無理としても、年5%づつ11年かけてやるならばGDPの上昇が税収増を伴なって実現の可能性はあると言ったりしていました。最低賃金の額は、他の制度、社会保険や生活保障、控除税制、雇用の形態をとらない事業などにも影響してくるため、それらと合わせた段階的な実施が必須でしょう。また、近年の産業構造の変化(技術革新に伴う労働分配率の低下)とベーシックインカムなどの話にも関係してくるでしょう。段階的な実施を考えるならば、ベーシックインカムよりもむしろ最低賃金を段階的に上げてゆくほうが現実的な気がします。そういった事を全て加味した上で、「やる」という政治決断をすることが重要なところだと思います。
◆一般質問
今回は、県域水道一体化についてとゴミ収集の袋代について質問しました。
◎県域水道一体化
【要旨抜粋】
広域化に対して9月に続けての質問を行なった。
郡の企業団から県の企業団に移行することにより、郡の企業団として得る予定の補助金(約1.5億?)に加えて、県の企業団として10年間の管路補修に補助金が活用できることになるとのこと。また、水道料金は郡企業団(セグメント会計)を続けた場合は令和28年度には341円になると見込んでおり値上げが必要(県一体化では220円程度?)とのこと。
この341円は、「町の浄水場を廃止して県水100%にする前の試算値ではないか?」と再質問したが、どうやらそうではないらしい。(町が郡の企業団に移行する際のシミュレーション(H31試算値)では、R27に町単独経営343円、一体化266円となっていて、郡に移行すればR27 は266円のはずだったのが、また県一体化しないと341円になるようになったようだ。)
財政シミュレーション結果はP10を参照。
水道水の供給単価比較は、第5回のP25などに記載。
【補足】
要は、給水原価には、水を作り出す費用に加えて施設維持を見込んだ費用が加算されており、どれだけの施設をいくらの期間で更新してゆくかによって変わってくるということ。
H31試算値では、町単独32億/30年、郡統合12億/30年の更新需要を想定。この時の32億は浄水場+管路で、12億は管路のみと思われる。
R3試算では、町単独(郡統合、セグメント会計)で30億/30年。管路更新のみで30億。
のようだ。 三宅町の管路は約55km。太さにもよるが、1kmあたり1億円とすると55億の管路を60年(寿命の1.5倍)で更新するペースで27.5億/30年となり立派な数字である。
一方12億/30年の更新は、全部をやるのに137年。半額助成が取れたとして69年という数字。
県一体化は、県全体で3000億以上を30年間の各所の管路更新にかける計画であり、なおかつ、給水原価を220円程度に抑えるということになっているようだが、理解が正しいのか確認が必要だと思っている。(これは到底水道代だけでは賄えない額だと思われる)
県一体化については、コストの観点から維持する水源を限定してしまう事により、命にかかわる水の安全安心を犠牲にすることの無いよう、また、命にかかわる水の供給を市場原理に委ねることの無いよう、ひきつづき動向を監視し声を上げてゆく必要があると考えている。
◎ごみ袋の費用
(一般質問2件目)
【要旨抜粋】
燃やすごみ、不燃ごみを有料(ごみ袋購入)で行なうことにはまだ理解できたとしても、資源ごみを町に出すために有料でごみ袋を購入することには疑問を感じる。ごみの減量や分別廃棄を進めたいのであれば価格を見直すべきと考えるがどうか、という問い。
それに対して、資源回収のごみ袋は製造費が17円で、売価20円ということ。資源ごみはすべてが資源化されることはなく、資源化されない部分はごみとして処理されるなど経費がかかるなどの事情があるので一部の負担をお願いしている。今後検討はするとのこと。
【補足】
資源回収分を増やすことで、結局はトータルのごみ処理費用を安くすることができるのだから、資源ごみ回収の袋は、市販のビニル袋利用にすべきと考える。プラやペット、空き缶などは薄い袋でも良く、現状の原価17円の袋はもったいないと思う。
ごみ処分場が遠くなるので、運搬費が増えるかもしれないなど言っていないで今すぐやるべきだ。
水道の話(R4 9月議会)
水道事業に関する一般質問を、もう少し詳しく記します。
松本質問)
三宅町は、令和4年度から町の水道事業を廃止し、磯城郡3町による水道企業団での水道事業を開始したところだが、今年の11月(令和4年11月)には、県から県域水道一体化の基本計画が出され、翌2月(令和5年2月)には基本協定を締結するとの予定になっている。磯城郡水道企業団も参加/不参加を表明する必要があるはずだが、町長の考えを伺いたい。
町長回答)
水道事業について
「今年の4月1日から郡企業団での運営を開始したところであり、現時点において具体的な県域水道一体化を見据えた検討はしていない」
「郡企業団としても三宅町としても、中長期的な安定経営のために県域水道一体化も視野に入れた検討が必要」
「県や奈良市や他市町村の動きも見据えて県域水道一体化に向けた対応をしてゆきたい」
とのこと。
再質問等) Q:松本、A:町長、C(コメント):松本
Q)町長は水道事業の単位として、郡と県どちらが良いと考えるか?
A)判断する材料が乏しい。回答を差し控えたい。
Q)未検討とのことだが、検討の手順は?
A)方向性を見てゆきたい。安全安心を観点として。
Q)既に県水100%にして浄水場も廃止して郡統合を果たした今、県一体化によるさらなるコストメリットは考えにくいが、どうか?
A)水道事業には管路の更新をどうするかが重要。補助金等、総合的に見る必要がある。
C)総合的に企業団できっちり検討してきっちり情報公開していただきたい。
Q)コンセッションによる民営化についてどう考えるか?
A)世界的に見ても成功事例は少ない。知事もそれは無いと言っている。私個人としてもそういった民営化は考えていない。
Q)県一体化の後、そういった話が出て来た場合、町長はどのように抗うか?
A)消防なども同様で、広域化の際にいかに意見が伝えられるか、ガバナンスをどうしてゆくかという問題が議論されていて、水道でも議論をスタートしている。今後もそういった場を求めてゆきたいと思っている。
Q)県一体化の際に、この先民営化の動きが議論されるような事態が生じた場合には、一旦元の基礎自治体に持ち帰り賛否を問うという付帯条項を加えていただきたいが、どうか?
A)そういった場合、市町村が検討すべきと考えるが、そういう動きは無い。
Q)町から郡事業団に移る際に、この先県一体化の話が来た時には、判断は郡事業団がやることになるのか? 町はどのように関与するのか? との質問に、「その場合は、一旦町に戻されて協議することになる」と回答されているが、その理解で良いか再確認したい。
A(部長) そのとおり。県一体化の協議会には郡事業団から出ているが、事業の県一体化の話となったときには、市町村議会に諮られる。前の返事と同じです。
所感)
県の一体化は、三宅町単独で何かが決まるようなものではないことは承知。
県の方針には逆らえない、というのもわからないでもない。
でも、ちょっと主体性がなさすぎるのではないかと思う。
物事の判断は結論ありきではなく、よく吟味して判断、そしてそのプロセスを広く公開していってほしいものです。
R4 9月三宅町議会の報告①
三宅町議会 第3回定例会(9月議会)の報告です。
議会は、9月2日から17日までの間、決算審査(認定)を中心に行なわれました。
行政からの議案は全て可決、議員提案の意見書は否決となりました。
議案賛否状況と、9月5日の一般質問、意見書の話を順に記します。
◆議案賛否状況
概要と賛否状況の表を添付します。
一般会計(R3決算、R4補正)
9月議会では決算が確定します。
町は年度毎の会計で、歳入>歳出の時、その差額を翌年に繰越金として繰越すこととなります。
当初予算の時には、繰越金が確定していないため予測値として金額を計上しています。(今年の場合は1000万円)
多くの場合、実際に出た差額は、それより多く、毎年、9月になると繰越金を確定させて補正予算として歳入に組み込むことになるわけです。(今年の場合は、約2億1000万円)
今回の補正予算では、国からの臨財債(地方交付税代替)減額などもあり、歳入増は1億8千万で、そのうち1億4千万ほどが基金(公共施設整備、公債償還)として積み立てられている。
6月の一般質問でも問うたが、地方財政はのきなみ歳入増となっているのに、大抵の自治体は、それを借金返済や基金積立に充てている。三宅町も同様。回せるお金を住民の今の暮らしの底上げを図る用途へと予算を組み替えてゆくようになってほしいものです。
◆一般質問
今回は、県域水道一体化についてと石見駅前の県立大学について質問しました。
【要旨抜粋】
〇県域水道
現在の磯城郡水道事業団をさらに広域化(県一体化)することについての考え、広域化の先の民営化について、町長の考えを問うもの。
町長からは、「県から広域化についての基本計画は、この11月(令和4年11月)に出され、翌年2月(令和5年2月)に基本協定締結ということになっているが、現時点で具体的な検討はしていない。
中長期的な安定経営のためには県一体化を視野に入れた検討は必要。
管路補修への補助金のこともある。コンセッション方式による民営化は知事も否定している。私も考えていない。
広域行政におけるガバナンスの検討は今も議論されている。」
といった回答を得ました。
〇県立大学
先の7月のタウンミーティングで紹介のあった、「交流ゾーン(交流スペースやカフェ等)」に関連して、生協、図書館、会議スペース、小ホールなどもなんらかの形で利用できるように働きかけてほしいという事と、建築物のゼロエネルギービル化の提案を行ない、町長からは、町として県に働きかけてゆく旨の回答を得ました。
◆意見書の話
安倍元首相の国葬見直しの意見書を提出しました。
今回、この意見書は、総務建設委員会に付託。委員会決議の後、本会議の最終日で採決となり、結局は否決されました。
9/9の総務建設委員会では、賛成3(松本、森内、池田)、反対4(久保、瀬角、松田、辰巳)、棄権1(川鰭)、で原案は否決されました。
9/16の本会議では、賛成4(川鰭、松本、渡辺、池田)、反対4(久保、瀬角、森内、松田)の同数で、議長(辰巳)反対の結果、4対5で否決されました。
※一般質問で行なった水道の話と、意見書(国葬見直し)、についてはこの後にまた別で述べたいと思います。